2024年2月の代表メッセージ

2月の代表メッセージ

☆2024年2月20日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教職員の懲戒処分規定を全国に □■

今年は、例年にくらべて暖かく感じられる2月です。
梅の花が咲いたと思っていたら、もうすぐ終わりになりそうな気配です。
と言っても、受験生は、のんびりとする時間もなく慌ただしい毎日を送っていることでしょう。

2021年に、旭川市でいじめを受けていた中2女子生徒が凍死した事件で、
当時の市教委が、市長に「いじめはない」と報告していたことが明らかになりました。
以下に共同通信の記事を引用いたします。
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当時の市長、西川将人氏が共同通信に明らかにした。
後の調査で、自殺未遂の直前に学校の先輩から受けた行為がいじめと認定されたが、
西川氏は「情報が乏しく、市教委の認識が『トラブル』という状況では、
いじめだと判断して市として対応することはできなかった」と振り返った。

自殺未遂は、地元月刊誌が約3カ月後に報道した。
市教委の内部資料と西川氏によると、当時の教育長らは西川氏を訪ね「事実と全然違う」と非難。
(2024年2月11日 共同通信)
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この事件からすでに三年もの歳月が経過してしまっています。
亡くなる直前の自殺未遂事件を「いじめではない」などと主張せずに、
教育委員会が、丁寧に調査し、指導していたらと思うと残念でなりません。

ここまで頑なに、いじめを隠蔽するような教師や教育委員会の姿は、
「自分さえよければ、中学生の生命などどうでも良いんだ」と言っているように見えてしまいます。
国家百年の計とまで言われる「教育」です。
この「教育」の要は学校であり、教師だと言えるでしょう。
その要が、人の命をないがしろにして恥じないとは、なんとも情けないものです。

当時の担任、校長、教育委員会の指導主事、教育長ら、関係者を懲戒すべきです。
懲戒ができない組織だから、隠蔽の温床をつくりあげてしまうと言えるのではないでしょうか。
「いじめ隠蔽」を図る教師、教育委員会職員については、国レベルで懲戒規定を法制化すべきです。
そうでもしないと、責任を負わず、逃げた者勝ちという世界を肯定することになってしまいます。
「教育」に携わる者だからこそ
「正義」の大切さを、自らの後ろ姿を通して子供たちに教える必要があるのではないでしょうか。

札幌市で、教職員のいじめ関する懲戒を懲戒処分規定に盛り込むという報道がありました。
NHKのNEWS WEBの記事の内容をまとめてみます。
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2021年、札幌市の市立中学校に通っていた当時1年の女子生徒が自殺した問題で、
札幌市教育委員会は14日、新たな調査報告書を公表し、
小学校のときに「どれい扱いされる」と訴えていたことや、
中学校で同じ学年の生徒から髪の毛を引っ張られたことなど、いじめの詳しい実態が明らかになりました。
しかし、担任らが内容を共有しなかったことなどで学校は組織的な対応をとっておらず、
女子生徒の両親は
「娘はどれほど苦しみ、追い詰められていたことか。
情報をできるだけ開示し再発防止に役立ててほしい」としています。
こうした中、市の教育委員会は2月下旬にも
いじめの判断は教職員個人に委ねず組織で検討するなどとした基本方針をまとめるほか、
教職員の懲戒処分の対象にいじめの項目を設けることで
校長や担任などの役割と責任を明確にしたい考えです。
(2024年2月15日 NHK北海道NEWS WEB)

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また、この事件に関して、
小学6年だった当時の校長を減給1か月(10分の1)の懲戒処分、
当時の担任教諭(既に退職)を文書訓告相当とし、
小学5年と中学1年の時の校長2人は文書訓告にしたことが報道されています。
(2024年2月14日付 朝日新聞 等)

加えて、事件については、
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市教委の第三者委員会が23年12月に公表した調査報告書によると、
生徒は小学校のアンケートでいじめ被害を訴えたが、担任の判断で十分な聞き取りをせず、
中学校への引き継ぎも行われなかった。
(2024年2月14日付 読売新聞)
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とありますし、HBC北海道放送によると、次のようないじめが明らかにされたと言います。

【新たに公表されたいじめの内容】
《小学校在籍時》
・同級生から、奴隷扱いされる
・同級生2人に髪の毛を引っ張られる
・同級生の家で人形の手か足を切るように言われ、切らないと仲間に入れないと強制される
・複数の男子児童に絵の具で服を汚される
・修学旅行の際に、遊覧船から落とされそうになる
・トイレに閉じ込められ「うけるー」などの声を聞く
など

《中学校在籍時》
・同級生に髪の毛を引っ張られたり靴を踏まれたりする
・SNSで「首つって死んで」など攻撃的なメッセージを受け取る
など
(2024年2月14日 HBC北海道放送)

毎日毎日、いじめられていたとしか思えません。
ここまでのいじめを隠蔽する教師たちをそのままにしておいて良いのでしょうか。

「いじめ隠蔽教師」の懲戒が法律に制定されるには時間がかかりますが、
札幌市のように、教職員の懲戒処分規定に「いじめ」の項目を設けることは、効果が期待できます。
この規定を教職員に徹底しておれば、このような残念な事件を防げたかもしれません。
200万都市である札幌市においても今まで制定されていなかったように、
全国の自治体における「教職員の懲戒処分規定」に「いじめ」の項目を有している自治体は
数えるほどしか無いのが現実です。
私たち「いじめから子供を守ろうネットワーク」も各地で、
教職員の懲戒処分規定に「いじめ」の項目を盛り込んでいただきたいと要望はしておりますが
遅遅として進まないのが現状です。

子供たちにとって、今学年も残り少なくなって参りました。
卒業間近になって「重大事態」に該当するようないじめ相談も入ってきています。
卒業後であっても第三者委員会を設置がなされて調査が進むこともありますが
やはり、在学中に解決を目指したいものだと思います。
どうか、いじめ問題を抱えていらっしゃいましたら、早急に学校と協議していただきたいと思います。
何か、不安な点等がございましたら、ご遠慮なくご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

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